国際水素・燃料電池展

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2012 第8回 国際水素・燃料電池展 2.29~3.2 (東京ビッグサイト) 
                                                                  <シズマ博士とS氏 リポート>


国内メーカからは、家庭用の自家発電用燃料電池「エネファーム」が主力製品として展示されていました。これは都市ガスなどを燃料としているもので、エネルギー効率が非常に高いものです。けれども、日本のような地震が多い国では、インフラが寸断されると動かなくなるのでは、と懸念されます。他に、国内自動車メーカ各社から燃料電池車が出展されていました。水素ガスタイプの燃料電池とリチウム電池とのハイブリッド型で、水素ガスは吸蔵合金のタンクから供給する形態のものです。けれども、このインフラ整備には大量の資本が必要そうで、政府の強力な財政支援がないと普及は難しそうです。
海外からは、燃料電池技術の先進国のカナダ、アメリカ、およびドイツ、フランスなどがパビリオンを出展していました。カナダやアメリカは国内から天然ガスやシェールガスが豊富に産出しますので、天然ガスを燃料とする燃料電池が主力商品として展示されていました。海外勢で特に目を引いたのは、福島原発事故以降、脱原発を政治決定したドイツのパビリオンです。ドイツブースには、水素ガスを 流し込んで300Wを発電する家庭用の小型燃料電池と、メタノールを燃料とする250W級の燃料電池も展示されていました。

日本で燃料電池のブームがあったのは2004年頃ですが、それから7年8年と経過するうちに、業績の悪化から技術開発費も削減され、外部資金を得るために、政府の研究補助金目当ての研究開発が中心になってしまいました。こうした研究資金を巡る企業内政治に追われて、国内の技術者は疲弊し、今後、海外流失も加速しそうです。今回の出展物を総括すると、最高級品のカテゴリーで、ドイツ製に勝てるものがなく、また、安価な商品のラインナップでは、中国製、韓国製には勝てない、という実態が明らかになりました。

地震大国である日本においては、ドイツのように水素ガスパイプラインは敷設できないとなると、メタノールを燃料とする分散型の水素エネルギードライブが最適という結論になるでしょう。今回、世界最大のFC EXPOを日本で開催できたことにより、世界のメーカと関係を持てたので、2年くらいの時間があれば、ドイツからエネルギードライブを委託導入し、また、燃料であるメタノールの供給基地として、東南アジアなどの海外とのネットワークも結べるでしょう。
イラン戦争で石油の輸入が停止されれば、病院、警察、消防、通信会社など の公共部門に限られた資源は優先配分されるでしょうから、一般家庭までには配給されなくなると覚悟すべきでしょう。ですから、水素エネルギードライブを自宅において、自家発電できるようにしておけば、備えは万全です。今後、私たちを取り巻く状況は悪化しますが、希望を棄てず水素社会について 勉強し、来る激動の 数年間を乗り切っていきましょう。

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